小さい頃からペンを手に紙の上で線や色を走らせることは、私にとって一番仲の良い友達のようなものでした。

 

どこかに余白を見つければ、落書きしていた子供時代に始まり、文学や音楽に没頭した10代の頃は、

憧れのロックスターの絵を描いたり、その合間にノートに詩やら小説やら、

自分の思いや様々なイメージを書き付けていました。

 

ちょっと読みかじったフランスの小説に惹かれて大学では仏文学を学び、

卒業後は大好きな音楽にいつも触れられる仕事を選びました。

 

21歳の時にはじめて海外旅行に出た時、「世界にはこんなに楽しい事があったのか!」と

異国の地に立つ至福に酔いしれ、それ以来旅は人生に欠かせないものになりました。

 

旅への想いが高じて会社を辞め、長旅の最中の有り余った時間の中で、一生続けられることや

国境を越えて人に伝えられる仕事をしたいと考えた時、自然に選んだのは絵を描くことでした。

 

しかし好きなことを仕事にしようとすると、今度は商業的に成功するかしないかという、

余計なことで頭を悩まされるようになりました。自由に気軽にペンを走らせていた手は徐々に重くなり、

はたと行き詰まっていた時にベリーダンスに出会いました。

 

自らの女性性をナチュラルに、しなやかに表現するベリーダンサーたちにすっかり魅了され、

自分も踊ることで身体をまるごと使って表現する楽しさに開眼しました。

鏡に映る自分の姿を見て引きつって、固まっていた私がだんだん踊りに身を委ね、

身体を通して自分が感じたことを表現できるようになってきた時、自分の中で何かが変わり、

描く絵の中で大きく大きく広がっていきました。

 

ヨガをはじめたのは、さらに大きな転機の時期でした。

突然の母の死とそれに引き続く東日本大震災、今まで当然あると思っていた基盤を失って、

心が揺れ動き、体調を崩してしまいました。生き方を見つめ直さざるを得なくなった時に、

ヨガが大きな助けになってくれました。

 

ライフ・スタイルをすっかり変えて、毎年インドに通いながらヨガや瞑想のプラクティスを続けました。

ずっと自分の外側に向けていた意識のベクトルを大きく内側へとシフトチェンジさせ、

それに夢中になるあまりに、一時は絵を止めようかと思うほどでした。

 

ですがある日、内なる探求の旅が落ち着いて馴染んできた時、ふたたび私は無性に絵を描きたくなりました。

それはまさに、忘れかけていた友達との再会のようでした。

彼女はずっと文句も言わずに傍に座って待っていてくれたのです。

 

新しい何がが、また、私の中から生まれようとしています。